今回はそんな人のために、映画『ショーシャンクの空に』の名言を題材に、「wish」と「hope」の違いと使い方をわかりやすく解説します。
簡単に説明すると、「wish」は非現実的なこと、現状と異なる状況を願うときに使い、「hope」は実現可能でポジティブな未来を期待するときに使います。
この違いを正しく理解していないと、自分の意図と異なったニュアンスを相手に与えてしまいます。
この記事を読めば、「wish」と「hope」を明確に使い分けられるようになり、さらに相手の話をより正確に理解できるようになります!
目次
『ショーシャンクの空に』(英語タイトル:The Shawshank Redemption)概要
『ショーシャンクの空に』は、1994年に公開されたアメリカの映画で、日本でも高い評価を受けました。
この映画は、観る人に「どんなに苦しい状況でも、希望を持ち続けることが大切だ」という力強いメッセージを届けてくれる作品です。
映画レビューサイトでは軒並み高得点を獲得し、「人生で一度は見るべき映画」として多くの人におすすめされています。
名言・セリフ:「Wish」現実と理想の違いを表現

I wish I could tell you Andy fought the good fight. I wish I could tell you that... But prison is no fairy tale world.
(アンディが立派に戦ったと言えたらよかった。そう言えたらよかったのに... でも、刑務所はおとぎ話のような世界ではない。)
これは親友レッドのセリフで、刑務所の中でアンディの置かれた状況をよく物語っています。
「I wish」は、「現実とは違うけれど、そうだったらよかったのに」という願望を表しています。
刑務所での理不尽な状況でも、アンディーは希望を抱き続けます。ですが、何度も厳しい現実に直面しました。
「アンディが理想的な勝利を収めたと話せたらよかったが、現実はずっと過酷だった」、ということが「wish」という言葉から読み取れます。
「wish」と「hope」の基本的な違い
「wish」と「hope」は、どちらも「願い」や「望み」を表す単語です。
ですが、この二つの単語には明確な違いがあります。
例えば、これから試験があって合格したいと思った、とします。
その場合:
- ❌ I wish I pass my exam.(誤り)
- ✅ I hope I pass my exam(正しい)
(試験に合格できるといいな。)
現時点で合否が分からず、ポジティブな結果を期待しているため、「hope」を使います。
一方、「wish」はすでに不合格が確定しており、「こうであればよかった」と仮の状況を願う表現となるため、誤りとなります。
仮の状況を表すのに、現在形の文章を「wish」の後に置くことはできません。
「wish」を使うには「仮定法過去」が必要になります。
この場合、
- ✅ I wish I passed my exam
(試験に合格していればよかったのに。)
と過去形を使うのが、正しい表現です。
過去形を使うことで、「実際は合格していないけれども、合格していればよかった」、という仮の状況を表すことができます。
Wish と仮定法

「現状と違う仮の状況」を表現することを、英文法で「仮定法」と呼びます。
例文
I wish I had a car.
(車を持っていたらいいのにな。)
- 「車を持っていない」という現実がある。
- 「もし持っていたら、よかったのに」という仮の話をしている。
上の例文で、「have」ではなく「had」と過去形が使われているのは仮定法だからです。
仮定法には:
- 仮定法過去 (現状の話)
- 仮定法過去完了 (過去の話)
があり、いつのことを想像しているのか(現在 vs 過去)によって使い分ける必要があります。
仮定法のルール
① 現在の仮定(仮定法過去):
- 時制:
動詞・助動詞は「過去形」にする - 使われる場面:
現状と異なる状況を願う - 例文:
I wish I could play the piano.
(ピアノを弾けたらいいのに。)
→ 現状、私はピアノは弾けない。
② 過去の仮定(仮定法過去完了):
- 時制:
「had + 過去分詞」を使う - 使われる場面:
過去の出来事に対する後悔 - 例文:
I wish I had gone to the party last night.
(昨夜パーティーに行っていればよかった。)
→パーティーに行かなかったのは昨夜の出来事で、そのことを後悔している。
仮定法「were」の使い方
仮定法過去では、主語が何であっても(I, he, she, it など)「were」 を使うのが正式なルールです。
例えば:
I wish I were rich.
(金持ちだったらいいのにな。)
このように、主語が「I」でも「was」ではなく「were」になります。
しかし、正式なルールは気にせず、カジュアルな会話では「was」を使う人が多いです。
どちらを使うべき?
- フォーマルな場面や書き言葉:
文法的に正しい「were 」を使う。 - カジュアルな会話:
「was 」でも大丈夫。
Wish の便利パターン

「wish」を使う際には、次の3つのパターンを覚えておくと便利です。
- 現状と異なる状況や非現実的な願い
- 過去の出来事に対する後悔
- 未来や他人に対する願い
① 現状と異なる状況や非現実的な願い
- 構造:
- I wish + 主語 + 過去形
- 意味とニュアンス:
- 意味:「こうだったらいいのに」
- ニュアンス:現実ではそうではなく、少し切ない気持ちを伴うことが多い。
- ポイント:
- 現在のことを言っていても「過去形」を使う。
- 「現実とは違う仮定」を表すための形であり、実際の過去を指しているわけではない。
例文 1
I wish I were taller.
(もっと背が高かったらいいのにな。)
例文 2
I wish I lived in Tokyo.
(東京に住んでいればいいのにな。)
例文 3
I wish it were sunny today.
(今日は晴れていればよかったのにな。)
② 過去の出来事に対する後悔
- 構造:
- I wish + 主語 + had + 過去分詞
- 意味とニュアンス:
- 意味:「こうしていればよかったのに」
- ニュアンス:過去の事実を変えられないことを認識しつつ、残念な気持ちや後悔が含まれる。
- ポイント:
- 「had + 過去分詞」を使って、過去の出来事について後悔を表す。
例文 1
I wish I had studied harder for the test.
(もっとテスト勉強をしていればよかったのに。)
例文 2
I wish we had left earlier.
(もっと早く出発していればよかったのにな。)
例文 3
I wish I had told you the truth.
(君に本当のことを話していればよかったな。)
③ 他人や未来に対する願望
- 構造:
- I wish + 人 + would + 動詞の原形
- 意味とニュアンス:
- 意味:他人の行動や未来の出来事に対して、「こうしてほしい」「こうなってほしい」
- ニュアンス:自分ではコントロールできない他者や状況に対する希望を表し、苛立ちや不満の気持ちを含む。
- ポイント:
- 「would」を使うと、他の人や状況に対する期待や不満を表す。
例文 1
I wish he would call me back soon.
(彼がすぐに電話をかけ直してくれたらいいのにな。)
例文 2
I wish you would help me with this project.
(このプロジェクトを手伝ってくれたらいいのにな。)
例文 3
I wish they would stop making so much noise.
(彼らがそんなにうるさくするのをやめてくれたらいいのにな。)
Hope の意味と使い方

「hope」は、実現可能で、未来の出来事に対する期待などを表現する際に使います。
Hopeの使い方と例文
① 未来に対する期待
未来に起こり得ることや、実現の可能性があることを願う場合に使います。
構造:
「hope + 主語 + 現在形」
例文 1
I hope it doesn’t rain tomorrow.
(明日雨が降らないといいな。)
例文 2
She hopes her team wins the match.
(彼女は自分のチームが試合に勝つことを願っています。)
② 現在の状況への願い
現在進行中の状況に対して、「うまくいっていることを願う」と言いたい場合に使います。
構造:
「hope + 主語 + 現在形 / 現在進行形」
例文 1
I hope you’re having a great time.
(楽しんでいるといいな。)
例文 2
We hope everything is going well.
(すべてが順調であることを願っています。)
③ 過去の出来事に対する願い
すでに起きたことについて、まだ結果がわかっていない状況で使います。
「そうだったらいいな」と期待する表現になります。
構造:
「hope + 主語 + 過去形」
例文 1
I hope you passed the exam.
(試験に合格しているといいな。)
例文 2
We hope she arrived safely.
(彼女が無事に到着しているといいな。)
Hopeのニュアンスの特徴
「hope」は、実現可能で未来への期待を表す
※現実には起こり得ないことを願う場合は、「wish」を使う。
- Hope: 実現可能、未来への期待。
例: I hope it doesn’t rain tomorrow.
(明日雨が降らないといいな)
→ 未来への期待。 - Wish: 非現実的、または可能性が極めて低い。
例: I wish I could fly.
(飛べたらいいのにな)
→ 非現実的な願い。
日常会話で頻繁に登場し、簡単に使える「hope」のフレーズを紹介します。
① I hope so.(そうだといいな。)
例文 1
A: Do you think it will be sunny tomorrow?
(明日晴れると思う?)
B: I hope so. I want to go hiking.
(そうだといいな。ハイキングに行きたいんだ。)
例文 2
A: Will we finish the project on time?
(プロジェクト、予定通り終わるかな?)
B: I hope so.
(そうだといいね。)
② I hope not.(そうじゃないといいな。)
例文 1
A: Do you think it will rain during the picnic?
(ピクニック中に雨が降ると思う?)
B: I hope not. That would ruin our plans.
(そうならないといいな。それじゃ計画が台無しだよ。)
例文 2
A: Is the train going to be delayed again?
(また電車が遅れるのかな?)
B: I hope not. I can't be late for my meeting.
(そうならないといいけど。会議に遅れるわけにはいかないから。)
クリスマスやお祝いごとで使われるWish と Hope

クリスマスやお祝いごと、成功や健康を祈る際にも、「wish」と「hope」が使われますが、使われる場面が異なります。
使われる場面:
- 「wish」はフォーマル向き
- 「hope」はカジュアルな会話向き
また、お祝いごと、成功や健康を願う場合の「wish」では、仮定法は使いません。
それぞれ見ていきましょう。
① Wish:フォーマルなイベントや手紙など
「wish」がよく使われる場面は:
- フォーマルなスピーチや祈りなど儀式的なイベント
- 手紙やカードでお祝いのメッセージなどの書き言葉
このような場面で、「wish」を使って、相手の幸せや成功を願うことができます。
相手の幸せを願う「wish」フレーズ:
I wish you + 名詞・名詞句(形容詞を含むこともある)
例文 1
I wish you a Merry Christmas and a Happy New Year.
(メリークリスマスと良いお年をお祈りします。)
例文 2
We wish you good health and happiness.
(あなたの健康と幸せをお祈りします。)
相手の幸せ、成功などを祈る場合、「I wish you」の後は名詞が続きます。仮定法は使わないので注意してください。
② Hopeの使い方:カジュアルな日常会話向き
「hope」は、カジュアルで日常会話に向いています。
特別なフレーズはなく、「I hope (that)...」を使って願いを伝えましょう。
例文 1
I hope you have a wonderful Christmas.
(素晴らしいクリスマスを過ごせるといいね。)
例文 2
We hope you enjoy the holidays!
(ホリデーを楽しんでください!)
「wish to」 ビジネスやフォーマルな場面での丁寧な表現
「wish」には、ビジネスの場で用いられる「wish to 」というフレーズもあります。
「wish to」を使うと、相手への敬意を示しながら、自分の希望や意向を伝えることができ、非常に丁寧でプロフェッショナルな印象を与えます。
「wish to 」は非常にフォーマルな場面(公式文書など)では効果的ですが、堅苦しい印象を与えてしまうので、使う場面には注意しましょう。
「wish to」 の基本と使われ方
- 構造:
「I wish to + 動詞の原形」 - 意味: 「〜したいと存じます」
- ニュアンス: 非常にかしこまった表現で、公式な書類やフォーマルな会話で使われます。
- 適切な場面: ビジネス文書、公式な依頼、クライアントや上司との厳粛な場面。
例文 1
I wish to inquire about your services.
(御社のサービスについてお伺いしたいのですが。)
例文 2
We wish to inform you that your application has been approved.
(あなたの申請が承認されたことをお知らせします。)
ビジネスの場で、自分の希望、意向を伝える際は、「would like to 」の表現を用いるのがより自然です。
「would like to」 の基本と使われ方
- 構造:
「I would like to + 動詞の原形」 - 意味: 「~したい」という希望を丁寧で柔らかく伝える。
- ニュアンス: 「wish to」より堅苦しくなく、丁寧な表現。ビジネスの場でも広く使われる。
- 適切な場面: 会議、日常的なビジネス会話、メールやチャットなど。
例文 1
I would like to schedule a meeting with you next week.
(来週、ミーティングを設定したいのですが。)
例文 2
I would like to request more information regarding the proposal.
(その提案に関して、さらに情報をお願いしたいと思います。)
「would like to」は丁寧でありながら、堅すぎないため、ビジネスの場でも広く使われます。
まとめ

今回は、映画『ショーシャンクの空に』の名言を通して、「wish」と「hope」の使い方について解説しました。
これらを正しく使い分けることで、自分の気持ちをより正確に伝えられるだけでなく、相手の言葉も深く理解できるようになります。
お祝いの場面や、誰かの成功を祈るときにも、ぜひ実際に活用してみてください!